
3部作の最終作です。今作もロジャー・ディーンによるジャケで、タイトルも「魔の饗宴」と、それらしい雰囲気になってます(笑)
お家芸とも言うべきメンバーチェンジは、今回は発生していません。この作品が初めてですね、そのケースは。
1曲目の Sunrise は、おごそかなフェードインのイントロから始まりますが、すぐにヒープ節のハイトーンによるコーラスワークが聞けます。
一転して2曲目の Spider woman は、ロックンロール調の陽気なナンバーです。荘厳なイメージのヒープですが、初来日公演時にはロックンロールメドレーを披露するなど、ベーシックな部分ではこの要素は強かったようです。注目すべきは、Sunrise はヘンズレイのみのクレジットであり、この曲はヘンズレイ以外の4人のメンバーのクレジットということです。
3曲目の Blind man は、哀愁ただようミドルテンポのシャッフルの曲で、アコギやツインリードが物悲しさを強調しています。お得意のフォーキーナンバーにビートをつけた感じです。
4曲目はシンセのリードとリードギターを用いた1分以上にもわたるイントロから始まる、プログレムードの漂う楽曲です。変拍子は用いず、楽器のコラボレーションやフレージング、ビートの緩急のつけ方だけで、十分に雰囲気を出しています。
5曲目の Rain は、ヘンズレイのピアノのバッキングのみの上で、バイロンが美しく歌い上げるバラードです。このやわらかな楽曲は、ヘンズレイの自身のソロアルバムでリメイクしています。もちろんそのバージョンでは、自らがボーカルを取っています。
6曲目の Sweet Lorreine は、モジュレーションの利いたシンセリードのリフレインが印象的なナンバーです、中間部ではその音色によるソロがフューチャされていますが。
最後のタイトルトラックは、10分にもおよぶプログレナンバーです。メジャーキーののんびりしたビートが前半をしめていますが、突然のフェードアウト・インで雰囲気は一転、ちょっとした前触れがあった後、カースレイクの激しいビートのみをバッキングとして、同じく激しいギターソロのパートがあります。このインタープレイは非常に熱いです。このアルバムにおいて、もっとも熱いパートかもしれません。16ビートのフレーズに、ドラムスがきちんと絡むあたりは盛り上がります。もちろんミック・ボックスお得意のワウワウも用いられます。数分この展開の後、またのフェードイン・アウトにより、のんびりした今度はシャッフルの曲調です。かなり聞きごたえがある、コンセンプチュアルな楽曲です。
このころのヒープは、かなり大作指向に根ざしていましたが、これが不思議な時代で、こういった作風でもアメリカで売れてしまったのです。前作と今作は、かなり売れてミリオンセラーになったようです。作品のクォリティとしてもセールスとしても、まさに絶頂の時期を迎えていたと言っても良いでしょう。
久々に本作を聞きなおしてみましたが、やはり名盤にふさわしい楽曲の目白押しです。筆者がヒープにはまっていった感覚を、久しぶりに思い出しました。というわけで、今回もイチオシです!